お達者倶楽部
介護支援室

要介護認定の手続き

要介護認定の申請

 被保険者が介護サービスを利用するには、その方が常に介護を要する状態(要介護状態)にあるか、または常に介護を必要としなくても日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)にあるかどうかの確認を受ける必要があります。この手続きを「要介護認定」と言い、介護保険サービスを利用するには、この認定を受けなければなりません。

 要介護認定を受けるには、市町村に申請をする必要があります。要介護認定の申請は、基本的には本人が行うものですが、家族や老人保健施設などの介護保険施設、「介護支援室」などの居宅介護支援事業者が代行して行うこともできます。

訪問調査

 要介護認定を申請すると、市町村の担当職員、または市町村から委託を受けた介護支援専門員(ケアマネジャー)が、認定調査員としてご家庭を訪問し、全国共通の調査票に基づいて、心身の状態や認知症の症状について79項目にわたる調査を行います。

 市町村は、この訪問調査の内容をコンピューターに入力し、機械的に要介護度を判定します(一次判定)。

主治医意見書

 市町村は、要介護認定申請書に記載された申請者の主治医に対して申請者の傷病や心身の状況について医学的な意見(主治医意見書)を求めることになっています。

 主治医がいない場合は、市町村指定の医師の診察を受け、主治医意見書を作成してもらわなければなりません。 主治医意見書は介護認定審査会の二次判定に用いられます。

認定審査会

 介護認定審査会は、保健・医療・福祉に関する学識経験者から選ばれた委員で構成されています。

 介護認定審査会では、訪問調査の内容と主治医意見書の内容に矛盾がないかを確認し、訪問調査の特記事項や主治医意見書の内容に基づいて、コンピュータが下した一次判定の妥当性を検討し、二次判定(最終的な要介護度判定)を行います。

 介護認定審査会は、申請者の状態を「自立」「要支援1~2」「要介護1~5」のいずれかに判定し、判定結果を市町村に通知します。

認定結果の通知

 市町村は、介護認定審査会の判定に基づき、要介護・要支援状態の認定を行い、原則として申請の日から30日以内に、「要介護認定結果通知書」により認定結果を申請者に通知することになっています。

認定有効期間

 認定の効力は、要介護認定の申請日に遡って発生します。

 要介護認定の有効期間は、新規の場合、原則として6ヶ月間です。申請者の状態が安定していない場合は、介護認定審査会の意見に基づき、3~6ヶ月の範囲で有効期間が短縮される場合があります。

更新認定

 要介護認定の有効期間満了後も引き続き介護サービスが必要な場合は、申請により要介護認定の更新を行うことができます。更新認定の申請は、有効期限の60日前から行うことができます。

 更新認定の有効期間は、原則として12ヶ月ですが、介護認定審査会が申請者の状態により3~24ヶ月(要支援の場合は3~12ヶ月)の範囲で有効期間を変更する場合があります。

区分変更申請

 要介護認定を受けた後、症状の軽減、逆に増悪や新たな傷病の発生等により要介護状態が著しく変化した場合には、要介護認定の変更を求める申請(区分変更申請)を行うことができます。

介護支援相談員(ケアマネージャー)

 「介護サービスを利用しよう!」と思っても、自分に適したサービスはどのようなものなのか、そのサービスを提供する事業者がどこにあるのか、一般の方にはなかなか分からないものです。また、介護サービスの給付は介護サービス計画書により行われますが、一般の方が計画書を作成することは困難なことです。そこで、適切なサービスをアドバイスしたり、介護サービス計画(ケアプラン)を作成するのが介護支援専門員(ケアマネジャー)です。

 

 介護支援専門員は、5年以上の法定資格実務経験があり、「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、実務研修受講後、都道府県により任用された資格者で、介護全般に関する相談援助・関係機関との連絡調整・介護保険の給付管理等を行います。介護支援専門員は、世間的には「ケアマネジャー」や「ケアマネ」と通称で呼ばれています。

 

 介護支援専門員は居宅介護支援事業者に所属していますので、都道府県に指定された指定居宅介護支援事業者を選び、利用される方ご自身が直接事業者と契約することになっています。

介護サービス計画(ケアプラン)

 介護サービス計画(ケアプラン)とは、介護を必要とする方が適切なサービスを利用できるように心身の状態や家庭の状況などを考えて、サービスの種類・内容・担当者を定めた計画のことです。

 医療保険(健康保険)では、日本中どこの病院にでも、「いつでも自由に受診する」ことができ、医師の指示による検査や治療の費用は、その7割が健康保険から給付されることになっています。

 一方、介護保険では、「いつでも自由に介護サービスを受ける」ことはできず、ケアマネジャーが作成した介護サービス計画をもとに提供された介護サービスに対して保険給付が行われ、計画されていない介護サービスには介護保険が給付されず、全額を自己負担しなければなりません。

 

 介護サービス計画を自分で作成(セルフ・ケアプラン)し、市町村に提出することも認められていますが、通常は居宅介護支援事業者に依頼し、作成してもらいます。介護サービス計画の作成費用は無料で、利用者負担はありません。

 

 ケアマネジャーは、介護サービス計画の作成にあたり、利用者の心身の状態や家族の状況、住居等の生活環境に十分配慮し、サービスの組合せを利用者や家族と相談しながら考えることになっています。

利用したいサービス事業者があれば、ケアマネジャーに希望を伝え、自分が納得できる介護サービス計画になるよう、ケアマネジャーと十分に話し合いましょう。

 

 介護サービス計画は、最終的に利用者の承諾を得て決定されることになっており、計画(ケアプラン)が自分の考えや希望にそぐわない場合には、ケアマネジャーに計画の見直しや変更を求めることができます。また、ケアマネジャーや介護支援事業所との契約を解除し、委託先を変更することもできることになっています。

 けれども、ケアマネジャーとの信頼関係はとても大事なもので、お互いの努力で築き上げていくものですから、軽率な判断を戒め、親身に自分の介護を考えてくれるケアマネジャーのアドバイスや説明には、十分耳を傾けるようにしましょう。